2021年3月21日。

オンライン(Zoom)にて「U-come2021」を開催いたしました。

参加者としては33名の方が、愛知・岐阜・三重・静岡という東海圏以外にも、

オンラインということあってか福井・山口・香川・山梨・東京から、

そして世代は10~70代までが集まりました。

テーマは「障がい者」です。

OPENING

初のオンラインということでスタッフも緊張する中、司会が登場しはじまりました。

U-comeやユネスコの紹介を行った後、“よく知るお兄さん”の登場!

テーマの「障がい者」について概要等を説明させていただきました。

PART1:法・制度

「あなたは今、『自立』していますか?」という問いかけからはじまったこの時間。

自立度に点数をつけて、グループに分かれその理由を話し合いました。

この問いかけを行ったのは、そもそもの法や制度がある理由を考えてもらうため。

そもそもあらゆる法律や制度は、保証されるべき権利を守るために存在します。

「障害者総合支援法」の基本理念は、“障害の有無にかかわらず、全ての国民が基本的人権を持つ個人として尊厳を尊重され、共に生きる社会を実現すること”。

『自立』に対する考えは人それぞれですが、この制度の中心には、「手を貸して」と「手を貸します」をサービス化するが在ります。

誰にも関わるこの制度。それを知った上で自分はどうするのか。少しモヤモヤを抱えたまま次の時間へ進みます。

PART2:他の国々

次は、日本から視野を広げて世界の障がいについて考える時間です。

WHO調べによると、世界には約15%(約10億人)の方が何らかの障がいを持って暮らしていると言います。

世界にはたくさんの国が存在しますが、アメリカ・オーストラリア・カンボジア・フィンランド・ケニアの5ヵ国の制度の事例を取り上げました。

その上でグループに分かれ、「あなたにとって『理想の世界』とはどんなものか」ディスカッションを行いました。

PART3:当事者

この時間は、代表・清水の友人で統合失調症の当事者である、さゆりさんよりお話を伺いました。スタッフや参加者からのインタビュー形式で行わせていただきました。

こちらに一部抜粋となりますがその内容を掲載させていただきます。(※ご本人許可済)
PART2までより、グッと一歩踏み込んだ時間となりました。

<自己紹介>

就職してから鬱になり、統合失調症になりました。

幻聴や歩きづらさ、妄想と現実の区別がつかないという生活を送っていましたが、周りの方の通常に近い生活が送れるようになりました。

<インタビュー>

Q.普段の生活で不便なことはありますか?
A.道端歩いていてふらふらしたりとか吐き気がしたりしています…

Q.普段の生活の中でしてもらい嬉しいことはありますか?
A.道を歩いていて駅で発作が出て苦しんでいるときに声をかけてくれた子に出会って、そのこと時々メールをしたり道であったときに話をしてくれるようになったりとか、障がいがあったから交流が増えた部分もあって。お母さんと一緒に治療器とかの導入をしてくれたりする先生とかもおって、そういう人が懇意にしてくれてずっとわたしを支えてくれることがありがたいと思っています。

Q.さゆりさんが実際に体験された行政サービスのようなものは何かありますか?また、もっとこうしてほしいなという要望などありますか?
A.行政サービスも色々あって、生活支援として家に人を呼んでくれたり、グループホームに通ったり泊まったりできたりするという充実した福祉サービスもあるけれど、そういうのを教えてくれる人がいないから、なかなかそういうことを障がい者の方でも利用することができない。もっと一般の人にも障がいになったら交通費が安くなるとか美術館が半額になるとか色々な知識をもっと広めて、行政はこんなに支えてくれるということを伝える手段があったら良いなと思います。

Q.普段の生活の中で、ここが改善されたらより楽しく過ごせるのにと思うことはありますか?
A.障がい者だからとかではなくて、健常者の方も障がい者の方も交えて活動する場がもっとあると良いなと。もっと障がいのある方も社会と色々関り、コミュニティを増やしていく方法があると良いなと思っています。

Q.さゆりさんにとって1番の支えは何ですか?
A.1番の支えは家族と、キリスト教の教会に通っているんですが、シスターとか友人とか職場の方が支えてくださって。そういう人たちは本当に、自分が障がい者だからというわけではなく接してくれて。健常者と同じように誰にでも平等で優しく温かくしてあげたいなと共感してくれる人をありがたいと思って生活しています。

Q.他の人からの声掛けや支援が嫌だと思ったことはありますか?
A.支援者の想いもあるし、いろんな人が関わろうとしてくださっているから、支援自体を嫌だと思うことは一切ないです。

Q.1番言われて嬉しかったことはなんですか?
A.やっぱり何かをしていて「ありがとう」とか。わたしと一緒にいて仕事をしたいとか、色々な活動に参加したいと思ったり、わたしの影響で変わりたいと思ってくれる人がいることは嬉しいと思います。

<参加者コメント>

  • いろんな支援や制度を知らない人が多いというのは大変共感できます。(20代)
  • すごくいいヒントをいただいたと思っています。色々な会議で障がいの方のお話をすることがありますが、せっかくの助けになる情報をご存じない、伝わっていないというのは非常に残念ですので、市役所等との会議でぜひうまく伝えられるように提案しておきます!やっぱり話し合わないとだめですね。(70代)

PART4:関係者

少し休憩を取った後、プログラム再開。

“放課後支援施設でアルバイトをする学生”という立場から、「関係者」とはどういう人なのかを考えます。

放課後支援施設には、ADHD(注意欠如多動性障害)であり虐待を受けている子供がおり、そのとき学生の立場ならどうするか?ということをグループで考えました。

  • 地域とかでの連携先があると良い
  • 虐待とADHDを混ぜて考えるのはちがう
  • 学生なので関われる範囲が限られておりかなり難しいので、周りの大人に相談する

という意見があがりました。

こちらはスタッフの経験を基にした実話なのですが、結果この子供は絵のコンクールに入賞したことで居場所を見つけることができたそうです。

「関係者」ってどんな人なのでしょうか。

家族、施設や専門分野で働く人、まわりの友達も含まれる…?

どんな関わり方がわたしたちにできるのでしょうか。

またもやモヤモヤを抱えて、次は最後のプログラムになります。

PART5:社会(他人)

最後は、障がい者と「赤の他人」だった場合。社会としての目線で考えていきます。

はじめに、ある音源を聞きました。どんな音か想像し、分かったらチャットに書き込んでもらいました。

正解は、駅の改札からホームまでの音。

最後のプログラムで取り上げるのは「視覚障害」。

視覚障害の方が聴いている音を体感してもらうことから始まりました。

音から読み取れる情報は非常に多い(多すぎる)ということが実感できました。

その後、視覚障がい者の方の電車ホーム転落事故のニュース記事を読みました。

そして、全盲の視覚障がい者である小島さんの話に耳を傾けました。

実際の困りごとや周りの方へ心がけてほしいことなど、短い時間でしたがギュッと詰まったお話をいただきました。

先ほどの視覚障がい者のホーム転落事故は年間で、

  • ホーム転落件数=65件
  • ホーム転落後の列車との接触事故=2件

という数字が出ています。

小島さんの話も参考に、この記事のような状況の時自分たちに何ができるのかをグループで話し合ってもらいました。

弱視を抱える参加者の方からは、「ホームが混雑していて申し訳ないから落ち着いたところ歩きたいなと思い、広々空いていた右側へ移動したら白状の先がホームにストンと落ちた。なぜ右へ移動しようと思ったかというと、脚を踏んで謝って許してもらえないこともあったが、お年寄りやお子様とぶつかったときは本当に心が痛いから。」と、ご自身がホームに転落しそうになった体験談をお話いただきました。

他参加者からは、「ポイ捨てにつまずいたり、歩きスマホにぶつかったりとか、点字ブロックの上に人がいたりとか、周りが騒がしくて放送が聞こえなかったなど、私たちのようないろいろな人たちが障害を作ってしまったんじゃないか」という意見もでました。

最後に白状SOSサインを知るなど、視覚障がい者の方にできるサポートを勉強して、この時間を終えました。

ENDING

最後の最後に、U-comeでは恒例の「今日を通して何を考え、これから自分自身何をこうどうしていくか」=「How do you build your peace?」を考え手元の紙に書き、参加者同士2人組に分かれ発表しあってもらいました。全体でも数名に何を書いたか、それをなぜ書いたか教えていただきました。

  • 「自分からどう助けてほしいか、どうしたいかということを具体的にいろいろな方に伝えて相談する」
  • 「自分の中での壁を取り除きたいなと思った。声をあげていく、周りが関係者だからこそ発信していったらいいんだなと思いました。」
  • 「助けを求めやすくなる雰囲気を作って、相手を尊重した行動を自ら進んでとる」
  • 「相手の気持ちをできる限り考える」
  • 「自分の普通や自分の当たり前が、他の人の当たり前ではない」
  • 「ちっちゃいことから行動していこう」

など、それぞれがここからのできる行動を声に出しました。

昨年コロナウイルスの影響でやむを得ず開催を中止したテーマにて、

企画内容をほぼそのままに行いました。

U-comeとして初のメイン事業のオンライン開催ということでスタッフの緊張もありましたが、無事に終えることができほっとしています。

初めて参加いただけた方もたくさんいて、U-comeとしてまた一歩前進できたイベントになりました。

オンラインでもこのように続けられると分かったので、また次回開催に向けてメンバー一同動いていきます!